アフターコロナ 9(読む)

前回、「読み書きを果てしなく蓄積すれば、誰にでも、完全独学が可能です。完全独学が可能なら、オンライン学習であろうと、どんなスタイルであろうと、何の問題もありません」と書きました。「読む」ことについて、当サイトで繰り返し書いているのは、昔話・伝説・神話などの口承文芸です。

その例として、「独学で勉強するために 7(読書3)」をごらん下さい。口承文芸とは、文字ではなく、口で語りつがれてきたお話のことです。口で語るのは、意外と難しく、複雑な登場人物、複雑な話の展開、複数場面の同時進行などは、聞いていてわかりません。だから、どうしてもシンプルさを追求することとなり、そのことが、人間の高度で複雑な思考の原点になっていると考えています。高度で複雑な思考ほど、構造を単純にしなければこなせません。ITは、いくらでも複雑なものを複雑なままでこなします。それこそ、ITの得意技です。

人間は、単純にしなければこなせません。勉強の得意な子は、教科書の内容も先生の話も、シンプルな構造化をしながら理解していきます。だから、いくら複雑になっても、こなしていけます。勉強の苦手な子ほど、複雑なままで何とかしようとします。それは人間には無理です。オンライン学習では、対面授業よりも、いっそうのこと、構造化のスキルが求められます。

構造化のスキルは、学校で教わることはほぼないでしょう。どんな進学校でも。

構造化のスキルを身につけるのは、学校外(主に家庭など)で、自分の行動によります。というと、「そんな難しいことができるわけがない」という反応が返ってきそうですね。ところが、構造化のスキルは、じつに単純に修得できるのです。昔話などの口承文芸を、たくさんたくさん、読み続けることです。昔話といっても、口承の形を変えたものは望ましくありません。質素で飾らない作りの本は、おおむね大丈夫でしょう。かわいい作り、きれいな作り、おしゃれな作りの昔話は、要注意です。

今、休校が続いている状況なら、まさしくチャンスです。構造化のスキルを磨けます。構造化のスキルは人間にしかできない思考なので、アフターコロナで人工知能がすさまじく進化しても、未来を拓いていけるはずです。

昔話などの口承文芸にじゅうぶん親しんだ後は、作家が創作したものも良いでしょう。口承文芸には作者がありませんが、創作には作者があります。それも、世代をこえて読み継がれている作品を優先した方がいいです。古ければ古いほどいいです。シンギュラリティに向けて、最先端のみを見続けていると、人工知能に勝負を挑むことになりかねません。人間としての能力を最大化することを目指した方がいいと思います。

次回は「書く」こと。

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