[本を書いた17]あとは自動運転

わが家の土台づくりの1丁目1番地

2023年10月6日

わが家の土台づくりの1丁目1番地は「本物の昔話の読み聞かせ」です。知育絵本や創作絵本、創作児童文学などではなく【昔話】です。子ども向けに改変(毒抜き)された昔話もどきではなく、本物の昔話です。

現在、書店の子どもの本コーナーには昔話がとても少ない。目に付く昔話も、改変されたものばかりです。本物の昔話はさがさなければみつかりません。「昔話は残酷だ」「昔話は役立たない」などという誤った意見が広がり、重要文化財ともいうべき珠玉の至宝が絶滅の危機にあります。

そのことについて、著書の中で詳しく書きました。本物の昔話は深遠な知性を形成します。残酷どころか人格陶冶をします。キリストさんもお釈迦さんも、昔話のようなお話を通じて崇高な教えを説きました。本物の昔話を浴び続ける。このことの意義は絶大で、語り尽くすことができません。

昔話は世界を包摂する

2023年10月8日

堅固な土台づくりに「本物の昔話」がさらに礎となります。昔話というくくりは口承文芸ということであり、正確には昔話のみならず伝説や神話も含みます。改変された昔話や創作は口承文芸ではありません。

名もなき人々が語りつたえるということは、極限まで単純化されるので、すなわちそれが抽象概念なのです。そんなものに残酷もひったくれもありません。具体に対して抽象は無限に広く無限に深くなりうるのです。マックス・リュティが「昔話は世界を包摂する」と説くのはまさにそれです。

昔話は人生も世界もすべてを包み込みます。世界中に無数と言ってよいほどの昔話があります。人類を人類たらしめてきた根源です。『サピエンス全史』には人類がもつ最強の特長は虚構であると説かれます。まさにそういうことなのです。虚構=抽象概念と言っても間違いではないでしょう。

昔話は高い学力を涵養します

2023年10月9日

昔話の読み聞かせが学力や生きる意欲、その他様々なスキルアップに役立つとは思いもよらない人が多いでしょう。直接役立つわけではありません。だからよけいに見えにくい。しかも昔話は排除されがち。

欧米人の中で、人が生きるに当たって神話が大切だと主張する人は見られるけど、昔話が大切だと主張する人は見たことがありません。日本でも、昔話の大切さを主張する人はたまにいますが、学力の礎になると主張する人は見たことがありません。でも私は強く主張します。昔話は高い学力を涵養します。

【本物の】昔話の読み聞かせを大量にすることなく、小中高に行かず完全独学などあり得なかったし、ホームスクーリングもあり得なかったでしょう。小学生になる時点で独学の力がじゅうぶん育っていなかったら学校へ行かせていたし、不登校で悩んだとしてもホームスクーリングはできなかったでしょう。

書き写しは堅固な土台を作ります

2023年10月10日

完全独学が可能なほどの土台づくりとして、「【本物の】昔話を大量に読み聞かせ」の次は「書き写し」です。書き写しも理解されにくい。学力向上につながるプロセスが見えにくいので、効率主義では意味不明。

効率主義で短期的な目標達成はできますが、土台づくりはできません。「○○すれば◎◎達成」というような方法論を私は好みません。子どもたちにもそんなアプローチはしていません。あくまでも土台づくり。それがすべて。堅固な土台ができさえすれば、あとは自動運転に近い。親は邪魔せず見守るのみ。

書き写しは堅固な土台を作ります。最初は児童文学から。だんだんと文豪が書いた文学作品を、1日1枚。わずかな努力でお金もほとんどかかりません。効率主義に毒された現代人は、お金がかからないものを価値がないと考えます。古来、多くの日本人は書き写しで知性を鍛えてきたのですが。

教育格差など、あっちむいてホイ!

2023年10月11日

書き写しは土台づくりにとても重要です。しかしこれも、その前に「【本物の】昔話を大量に読み聞かせ」があってこそ生きます。OS(昔話)がインストールされていないと優れたアプリも働きません。

【本物の】昔話は書店にはあまりないので図書館を活用しましょう。なんといっても無料です。司書さんに聞けば教えてくれるでしょう。書き写しで必要なのも本(お手本)と原稿用紙と鉛筆だけ。当初、お手本は教科書でもいいです。文豪の文学作品は文庫だと数百円。きらいな言葉ですが「コスパ」最高!

たったこんなことで完全独学と完全ホームスクーリングが可能になるのです。学校であろうと学校外であろうと、学力については心配しなくてもいい。塾も予備校も不要です。わが家はすごい田舎ですが、地理的なハンディもなし。教育格差など、あっちむいてホイ!

知への欲求

2023年10月12日

完全独学というと、学校に行っている子には関係ないと思いますか?まったくそんなことはありません。予習、復習、試験勉強は独学です。中学生以上では予習・復習なしに勉強が身につくことはないでしょう。

「【本物の】昔話を大量に読み聞かせ」「書き写し」と進んでくれば、自然と知性が具わってくるので、ほっといても本を読むようになるでしょう。知への欲求が出てくるのです。読みたい本を読みたいだけ読ませてあげる。大事なことは「邪魔しない」こと。徐々に読書のレベルも向上していきます。

ゲームが好きな子はどんどん難易度の高いゲームを求めるでしょう。同じことです。本を読めるようになったら、どんどん難易度の高い本を求めます。「本なんか読んでないで勉強しなさい!」は最悪。本も読めない子が勉強などできるわけがない。こんな単純なことを気づかない大人が多すぎます。

土台が完成すれば、親としては安泰

2023年10月13日

「【本物の】昔話を大量に読み聞かせ」「大量の書き写し」「大量の読書」がそろえば、土台は完成です。「大量の」という言葉は、長期間続けるということです。塵も積もれば山となる。

土台が完成すれば、親としては安泰です。学力はもちろん、広い意味の知性も具わり、必要なことは自ら考え見いだしていけるでしょう。スキルの習得も土台がない場合と比べればずっと速やかにできるはずです。人間関係もそれなりにやっていけるでしょう。挫折や失敗しても再起動しやすいでしょう。

土台があるからといって天才になれるわけではない。人としてより良く生きていけるということです。学歴やお金や社会的地位などの儚い幻に依存しなくても、大丈夫。それが私にとっては最大の願いなのです。自分の人生を自分で生きる。これほど素晴らしい生き方がありましょうや?

安定した生活などつまらない

2023年10月14日

無登校・無塾・無指導の完全独学、完全ホームスクーリングで勉強してきた子どもたちが大学受験に挑戦中です。超難関国立大学(と世間が言う)を志望しています。模試の成績は大いに希望あり、です。

うちの子たちは、学歴や就職は無頓着です。ただただ知への欲求を追いかけてのことです。学部選びも就職とは無関係。大学は学問の場であると同時に、社会へ出るまでのモラトリアム期間でもあります。勉強であれ、どんな活動・経験でも、有意義な4年間を過ごしてほしい。仕事などどうにでもなる。

安定した生活などつまらない。失敗や挫折を大いに経験しなさい。それこそが人生の宝なのだから。人生を語り合い、天下国家を語り合えるような友を得なさい(難しいか?)。大学生になったら親の出る幕はない。黒子のように後方支援に徹するのみ。キミたちの人生はキミたちのものなんだ!

 

(続きは次のページへ)

 

 

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