独学で勉強するために 3(マネ)

前からつづく。

『頭脳の果て(アインシュタイン・ファクター)―驚異の加速学習法25年の集大成』(ウィン・ウェンガー/リチャード・ポー、きこ書房)という本があります。普通に学習して成果が得られるスピードを加速する方法を紹介しています。その中の1つ、「第8章 モデル思考―その人になりきる―」は、天才を借りる、という方法です。歴史上の有名な人物でも、自分が直接知っている人物でも、その人になりきる(一体化する)イメージトレーニングによって、その人のスキルや能力を身につけることができる、というものです。すごいことを言っているように聞こえます。

アメリカ人が言うからこういう言い方になるのでしょうが、これ、日本人のオーソドックスで伝統的な学び方に似ています。

師匠は、弟子に、何も教えない。弟子は、師匠を観察し、マネする。師匠と一体化するように、来る日も来る日もマネをし続ける。いつか、師匠とそっくりになってくる。すると、師匠の技だけでなく、人としての振る舞いも、自然と深く会得している。そうなると、師匠を卒業し、さらなる高みへ上っていける。

明治以後、高度に欧米化していく過程で、このような学び方を捨て、欧米の学習法を中心に据えるようになってきました。目標(ゴール)を設定し、そこへ至るための計画を立てて、実行していく。ゴールへ着いたら、過程を検証し、次のプロセスに生かす。

現在の学校教育は、ほぼこのやり方ですね。欧米式は非常に強力で、高度の文明を築き、維持していくのにふさわしいです。私も、欧米式を否定することはありません。そうではなくて、日本古来の学びを土台に据えてから、欧米式を実践していくと、「加速学習」になっていくことに気がついたのです。

日本古来の学びとは、マネです。「学ぶ」は「まねぶ(マネをする)」が基となっているとも言います。「学習」のもう片方、「習う」は「倣う(ならう=マネをする)」にも通じます。私たちの先人たちは、学習の土台がマネであることを伝えてくれています。「マネ」という言い方が気に入らないなら、欧米風に「モデリング」といってもいいでしょう。

「読む力と、書く力」は、じつは、マネ(モデリング)に他なりません。読解力と表現力と思われたかも知れませんが、そういう「スキル」レベルの話をしているのではなく、もっともっと根源的な学力を言っています。

次回はこちら。

 

 

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