[本を書いた25]遺伝じゃないのよ学力は

自然と数学ができるのはなぜ?

2023年11月27日

完全独学の完全ホームスクーリングでやってきたうちの子たちは数学を苦にしない。むしろ得意科目。私も数学は得点源だった。でも世の中には数学が苦手という人がとても多い。なぜだろう?と議論。

数学に美しさを感じるかどうかではないかと、私。パズルで遊んできたかどうかではないかと、第二子。好奇心という意見もでたけど、好奇心なら数学には限らない。わが家の環境にヒントがあるかもと考えて思いついた。時計ではないか? わが家には時計が異常に多い。大きくない家だが20個以上ある。

PC、スマホ、家電、腕時計など除く純粋な掛け時計と置き時計だけで。そこら中にある。どこをみても時計が目に入る。アナログがやや多い。よその家に行くと時計がなさ過ぎることに驚く。日常生活は時間にアバウトだしあまり時間を気にしない。時間を管理するための時計ではない。考えれば不思議だ。

時計かもしれない

2023年11月28日

考えてみて。アナログ時計はかなり難しい。シンプルな盤面に12進数と60進数が表現されている。時刻を読みとるには抽象度が必要。今午前11時52分。午後2時10分に出かけるならあと何時間何分?それは何分?

デジタル時計も難しい。数字で表現されていてもそれは10進数でなく12進数または24進数または60進数。アナログとデジタルの行ったり来たりも難しい。時計がそこら中にあると、意識せずとも数の概念が鍛えられる、のではないかな?月日、温度、湿度の表示もある。10進数が混在している。

そんなこと言うとあわてて時計を買いに行く人がいそうだけど、それはちがうよ、と第二子は言う。そうかもしれない。時計をたくさん置けば数学が得意になるという発想はあまりに安易だ。となると結論はあそこへいく。わが家の圧倒的にオリジナルな環境というと、やはりアレだ。(もちろん優勝ではない)

やっぱり抽象概念だよね

2023年11月29日

数字を自由に扱えるだけで数学が得意にはならない。小学校低学年なら数字だけで算数得意となるかもしれないが、高学年になると抽象概念を扱うようになる。抽象的論理的思考がないと数学は伸びない。

抽象概念を身につけるには昔話に勝るものはない、というのが私の持論。わが家では昔話の読み聞かせを大量にしてきました。何度も念を押すけど、創作話や創作絵本ではなく、しかも改変されていない昔話です。昔話はお話の姿をしているけど抽象概念そのものです。幼児期から抽象概念を鍛えてきたのです。

だからうちの子たちは完全独学が可能だったし、科目ごとの得手不得手、凸凹があまりなく、大学受験に取り組むようになっても国立大学向きです。苦手科目はありません。昔話はオールマイティです。抽象概念そのものだから当然。世の中は勉強よりもはるかに難しい。まあ、なんとかやっていくだろう。

「学力は遺伝だ」という宿痾

2023年11月30日

うちの子は4人とも完全独学で小中高の勉強をしてきましたが、それができるのは遺伝だという言い方をよくされます。このことにはとてもとても不満があります。生まれつき人生が決まっているのでしょうか?

私は本で、そうではないと書いたつもりですが、読んで下さった方の中でも、遺伝だとおっしゃる方がいます。とくに近い方で。親子やきょうだい間でも、学力、性格、価値観などマチマチではないでしょうか。学力は遺伝が6割であるという研究があります。10割ではありません。たかが6割でしょう?

残りの4割は何でしょう? 本人の努力? それもあるけど、環境が大きいのではないかと思います。遺伝に見える部分もじつは環境の影響がかなりあるのではないかと思えます。子どもからすると環境も生まれつきの要因と言っていいでしょうが、遺伝との違いは、変えることができる、ということです。

遺伝なら変えられない、環境は変えられる

2023年12月1日

占いが好きな方がいます。いろんな占いがあって楽しいですね。ところで占いの結果って、変えられないものなのでしょうか? 遺伝を重視することは占い万能と同じです。与えられた人生は変えられない、と。

本人の努力も意志が必要ですが、環境を変えるにも意志が必要です。子どもの学力で言えば、本人の努力よりも環境が先でしょう。勉強する環境がないと努力のしようもありませんから。環境を変えるには、親、学校、地域、行政、民間のさまざまな取り組みなど、大人の意志と努力が必要です。

環境を変える意志なしに遺伝とか本人の努力とか言っても現実逃避に見えます。子どもの学力なんかよりもっと別のことに労力を注ぐのだと考える人もいるでしょう。それはそれでその価値観も尊重されるべきでしょう。そういう人は子どもの学力について遺伝とも努力とも言わないでしょう。選択ですから。

宿命論に縛られるのはヤダね

2023年12月2日

子どもの学力は遺伝であるという考え方を私が嫌うことが子どもたちにも伝わったようです。考えが伝わったのは明らかに遺伝でなく環境です。子どもたちも宿命論を嫌います。自分の人生は自分のものだと。

リアルで私を知る人の多くは、私が子どもたちに勉強を教えていると思い込んでいるし、難関大学受験のためのエリート教育をしていると思い込んでいます。それらは虚構ですが、いくら話しても理解されません。子どもたちにも「難しい大学をうけるんやろ?」というようなことをいう人がしばしばいます。

だから子どもたちは大学進学を拒否していました。完全ホームスクーリングからそのまま社会に出る道を描いていました。親と同じはイヤだ、と。健全です。子どもたちが大学進学へ転向したのは、それぞれが自分の中で親の影響を振り切り自立したからこそです。自分で自分の人生を選択したのです。

格差に負けるな!

2023年12月3日

子どもの幼少期の環境はほんとうにマチマチです。幼児教育、塾、習い事、お受験に突き進む家庭もあります。いつもテレビがつきっぱなしの家庭もあります。本がたくさんある家庭もあり、ほとんどない家庭も。

私の本を読んで「読み聞かせなど考えたこともなかった」という方が時々います。読み聞かせに熱心な家庭もあります。わが家では昔話に特化した読み聞かせに集中してきました。「考えたこともなかった」なら変えられるでしょう? 考えて、それでもやらないなら、それはそれでよいではありませんか。

教育格差については、できることはたくさんあるはずです。格差を固定していくのは思い込みでは? 国の努力がもっともっと必要なのは言うまでもありません。国がやってくれないからダメだ、ではなく、それでもできることはある。私の人生観です。子どもたちは親の遺伝なんかにとらわれず生きてほしい。

冒険大好き!

2023年12月4日

私自身、親と同じ人生はイヤだった。親と同じ職業に就けば、最初からアドバンテージがあります。二世としての優位さを好む人もいますが、私はイヤ。冒険やチャレンジは大好きです。安定は退屈で苦痛。

20代後半で、誰も知人のいない田舎へひとりで飛び込んだ。そして土方(どかた)をやった。わからないことだらけで、田舎のおっちゃんらが師匠だった。未知の世界で未知の仕事をするのは爽快だった。100人が100人とも無理と言っていた。気が狂ったかとも言っていた。実現したらヒーロー扱いだった。

インターネット黎明期にネット婚した妻も安定した人生は好まず、結婚後もホント、いろいろあった。今は在宅の仕事を妻と一緒にやっています。24時間365日ほとんど一緒にいます。性格や趣味やバックボーンは大きく違うけど、ずっと仲良くしてこられて感謝。あ、そうそう、来年は銀婚式。もう25年かあ。

なんとかなる!

2023年12月5日

私は学生時代、自転車で京都から能登半島や四国へ行き、西日本一周もしました。ひとりで、野宿で。行く先々でいろんな人が声をかけてくれる。差し入れも時々。若者の無謀を温かく受け入れてくれて感謝。

その後はバイクで野宿ツーリングも。そのころの経験が人生全般に生きています。若いうちは何でもいいから冒険やチャレンジをした方がいい。若いうちでないとなかなかできないし。時代が違うので野宿旅行は今は無理でしょう。いろんなタイプのチャレンジがあります。失敗や挫折を怖れないでほしい。

子どもたちがやりたいということは可能な限り実現するように努力しています。お金に余裕があるわけではないけど、一生懸命考えて工夫すれば、まあ何とかなる。何とかする方法はなんとかかんとか見つかる。親は何とかするから、キミたちも何とかしてみろ。何とかすれば何とかなるもんやで。

 

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