独学で大学受験 29 スマホ

 

子どもに学力をつけさせたいなら、させたくないもの3つ。テレビとゲームとスマホ。このうち、テレビとゲームはすでに書いた。

スマホはやや年齢が上がってからだし、難しいことが多い。なにしろ、子どもたちはスマホネイティブなのに、親は大人になってからスマホだろう。圧倒的に子どもが有利だ。

スマホの技術も非常に速いペースで変わっていく。多くの親はネイティブに勝ち目がない。

『スマホが学力を破壊する』という本がよく売れたが、スマホを使えば使うほど試験の成績が下がるという研究結果を披露していて、衝撃だった。ただ、教育にたずさわる方なら、このエビデンスを知らなくても、肌感覚でそう理解しているのではないだろうか。この本では、脳にモニタをつけて調べたところ、ITを使った作業では前頭前野が抑制され、リアルの作業では活性化されるという検証結果も紹介されている。調べることでも、書くことでも、コミュニケーションでも、ITを使えば頭が働かず、身体を使えば頭が働く、というのだ。

『スマホ脳』という本もベストセラーになったので、読んだ人は多いだろう。スマホが脳に悪影響を及ぼすことを世界的な専門家が説いている。

スマホが子どもに害をもたらすことを説いた本は、2018年ごろから目立って増えてきた。大多数の子どもたちにスマホが普及して3年ほど経過し実態が明らかになってきたという時期だろう。

スマホは、テレビやゲームと比べてもかなり危険なアイテムだと思う。その一方で、テレビやゲームはなしでもやっていけるが,いまの時代、スマホなしではやっていけないだろう。要はスマホとのつき合い方、という話になるのだろうが、それが難しい。非ネイティブがネイティブをコントロールしようというのだから、どうしようもない。

わが家では、パソコンを自作し続けてきた副産物として、余ったパーツで子ども用のパソコンをつくり、4人の子がそれぞれ3歳ぐらいから専用パソコンを与えてきた。子どもたちは、パソコンネイティブだ。とくに教えなくてもたいがいのことはできるだろう。

そして、幼い頃から大量の昔話を聞き、自分でも大量に読んできて、すると読書が自然とレベルアップし続けるようになり、幅広く世界を知るようになる。5~6歳からは毎日書き写しをしてきたので、知性が鍛えられてきた。

すると、パソコンに使われるのではなく、意図をもってパソコンを使うようになる。そうなると、必要なことは調べたり考えたりする。漫然と流されるような使い方にはならない。

わが家では、まずパソコンを十分使ってから携帯電話、スマホの順だった。

山の上に住んでいるので、携帯電波は届きにくい。2009年ごろまでは、童仙房内はほぼ3キャリアとも不感だった。だんだん整備され、今はおおむね3キャリアともなんとか通じるエリアが増えた。それでも、わが家の宅内ではほぼ電波が通じない。携帯やスマホを持っていても、自宅では通話できないのだ。wifi環境はとうぜん作っているので、データ通信ならできる。

ところが、パソコンネイティブがスマホを使うと、スマホでできることはぜんぶパソコンでより良くできることばかりであることに気づく。積極的にスマホを使う理由がない。子どもたちはパソコンネイティブなので、スマホへのあこがれは生じないようだ。

前回書いたように、2014年からは、家族でのお出かけが非常に多くなった。家族それぞれが携帯かスマホをもっていないと、動きがとれない。買い物に行っても、6人がそれぞれ行動すると、携帯かスマホがないとどうにもならない。そういうわけで、小学生低学年ごろから、携帯をもたせている。中学生あたりになると、スマホを与えた。

ITが学力を低下させるということは、子どもたちが肌で感じているようだ。親はとくに管理していないが、あまり積極的にスマホを使いたがらない。必要な時以外は電源を入れていないようだ。

ITが学力を低下させるなどと普通は子どもたちに言い聞かせたところで、反発するだけだろう。うちの子たちは、読書と書き写しを徹底してきた。だから、身体での学びがどういうものか、深く知っている。スマホが学力を破壊すると外部から言われるのではなく、自らの内からそのように知っている、ということだ。

私は、パソコンなら一般人より少し使えるだろうが、スマホネイティブ世代にスマホでは勝てそうにない。だから、勝負を挑まない。子どもたちをコントロールしようとしたって、まあ負ける。出し抜かれて笑われるのがオチだ。

大量の読書と大量の書き写しで知性の身体化が進めば、テレビもゲームもスマホも、子どもたちを害することはできない。誰かに守ってもらわなくても、どうすればいいかを自ら学んでいく。わかっているなら、わざわざ自分を劣化させる道は選ばないだろう。

あれこれ個別の対策を考えなくてもいい。こんな複雑な世の中で、ちゃんとした対策など、どうせできっこない。根本を育てればあとはなんとかなる。根本とは、大量の読書(昔話が基本中の基本)と大量の書き写し。これにつきる。とても簡単で、だれでもできることなんだが。みんな、難しいことをやろうとしすぎる。本当に大切なものは目に見えないんだよ、と星の王子さまが言うのは、こういうことだよね、きっと。

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