大学受験7 基礎

基礎の大切さ

前回、課題は基礎だと書きました。

ハルがとけなかった数学の入試問題をあらためて見て、教科書にのっている基礎事項をどう使っても解けない問題があるだろうか?と検討すると、そのようなものはないことに気づきます。

基礎の大切さを理解していなかったハルが、受験後にこう言いました。「今年、中途半端に合格してしまうよりも、基礎をきちんとやって合格を目指した方がいいと思う」。半年前にそう決断していたら、この半年は基礎に当てて、今ごろはうんと進んだ位置にいられたでしょう。しかし、今、そう気がついたことは、非常によかったと思います。半年の試行錯誤が人生の糧になっていくでしょう。

家を建てるときにも基礎が必要です。基礎を手抜きして家を建てれば、強度や耐久性に問題が出るでしょう。災害がなくとも、年月と共に、歪みがでたり傾いたり沈下したりするでしょう。勉強も、基礎なくしては、ものになりません。

基礎とは何か

基礎とは、教科書です。それ以外のなにものでもありません。教科書を粗末にして何かを使うことは勧められません。わが家はホームスクーリングなので、教科書でなくて参考書を使いますが、あくまでも教科書に準拠した参考書であって、教科書を無視した参考書ではありません。

数学、理科、社会は、とにかく教科書の内容を理解し、教科書レベルの問題集を繰り返して定着させることが基礎です。教科書レベルの内容をほぼ100%理解し修得することが基礎です。

英語は、要注意。ここ20年ほどは、学校で習う英語がコミュニケーション重視となって、文法が軽視される傾向にあります。これは大変マズいことで、大学の先生方も多くが異論を唱えています。

その一つを紹介します。皆様もよくご存知の日本学術会議が2020年8月18日に出した提言「大学入試における英語試験のあり方についての提言」です。

第一に、外国語学習は、母語習得のような豊富なインプットが望めない環境で、母語の制約を受ける形で行われる。したがって、母語であれば暗黙知として獲得される文法体系を、明示的な知識として習得することが重要である。この基礎知識は、言語能力の「4技能」として捉えられる諸側面に共通する基盤となるものであり、それが十分に習得されていない段階で、4技能に切り分けた「読む、書く、聞く、話す」といった活動に焦点をあてた教育を行っても、根底にある言語能力を育成することにはならない。

何よりも英語学習は文法が第一だぜ!!とのことです。日本学術会議は、わが国の超一流の先生方が集まっているので、各大学の入試問題の方針がこのような線で考えられていると受け止めてもいいでしょう。

ニューズウィーク日本語版』にもいろいろあります。

2019年5月22日の「日本人の英語が上手くならない理由 『日本人の英語』著者が斬る30年間の変遷

非常に残念なことに、中学・高校で使われている英語教科書に載っている英文も必要以上にシンプルになってきている。基本的文法を学ぶ時間が減り、単純化された英語にしか触れていないことで、読解力がずいぶん下がっているようだ。さらに言えば、30年くらい前から萌芽が見られた「語彙の貧困」という問題が、一層深刻になっていることも確かである。

2019年4月2日の「日本人が知らない「品格の英語」──英語は3語で伝わりません

特にアメリカ人は外国人を潜在的な移民と見なし、誰もが英語習得に努力するものと無意識に考えているため、「推敲が可能な書き言葉での間違いは、改善の努力を放棄しているように映り、評価を大きく下げてしまう」

ビジネスの現場でも、文法が未熟な英語は命取りになるとのことです。

英文法に関する指摘は探せばいくらでもあります。英文法は、学校の教科書と別で、文法の標準的な参考書と問題集を使った方がよいでしょう。英文法を徹底的にマスターし、文法の参考書に出てくる重要表現や単語はすべて覚える。標準的な英文法問題集をほぼ完全に仕上げる。学校の教科書を完全にマスターした上でのことです。ハルもナツも、教科書はありませんが、ほぼ基礎英語のみで英検2級に合格しています。基礎英語のダイアログはすべて暗唱し、何も見ずに書く練習を重ねました。英検2級はセンター英語の6割レベルとのことですが、ハルもナツも、スタートはそこです。基礎英語は文法の体系的学習がないので、これからやらねばなりません。

英文法が終われば、文法通りに章立てされている英文読解の参考書をマスターします。ここまでが英語の基礎です。高校に行っていれば、文法に加え、教科書をすべてマスター(単語や熟語も)することが基礎です。

古文も英語と同様で、古語文法と、重要表現や単語のマスター、文法に則した読解です。

基礎は、徹底してやる必要があります。教科書(または参考書)→問題集(教科書レベル)の繰り返し。教科書レベルの問題集なら、おおむねできるようになる必要があります。最初はできなくてもかまいません。出来なかったところをしつこく繰り返せば、いつか100%に近づきます。

基礎とは、絶対になまやさしいものではなく、全力で、真摯にとりくまねばなりません。高校生の中で、基礎をしっかり仕上げている人が、どのくらいいるでしょうか? 10%もいるでしょうか? ちなみに、国立大学に進学するのが10%です。

年間スケジュール

ハルは実際の受験を経験することで、基礎の大切さを理解しました。ナツも、理解しました。志望校合格は結果です。焦って基礎をおろそかにすることは本末転倒で、よけいに結果を遠ざけます。基礎を修得した上で、基礎を活用する練習をします。

4~9月 英語、数学、古典の基礎。(おうるは理科と社会も)

10~12月中旬 基礎の活用(発展的な問題に取り組む)

12月中旬~1月中旬 共通テスト対策

1月中旬~2月下旬 過去問

ただし、基礎が間に合わないときは、9月で打ち切らず、基礎の期間を延長します。この記事を書いている現在は、基礎の中間点です。まずまず予定通りの進捗です。続きは次回へ。

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