[本を書いた16]確固たる土台づくり

本を補足するような内容をTwitterに書いています。そのなかのいくつかをまとめて掲載します。(その7。追加中)

 

効率主義と土台主義

2023年9月24日

確固たる土台さえ作ればたいがいのことはうまくいく、という考え方は素朴なのに難しいらしい。効率主義と土台主義はまったく異なるパラダイムです。もちろんわが家は土台主義です。

小中高に1日も行かずに完全独学が可能であったのは、堅固な土台を作ったからに他なりません。土台がしっかりしていれば、どんな環境でどんな方法で勉強しても対応できます。ホームスクーリングでもいいし、学校でもいいです。社会性も柔軟に対応していけます。親として悩むことはあまりありません。

完全独学から大学受験しても国立大学が普通に合格可能です。受験勉強においては効率主義です。土台が盤石であれば効率主義にも対応可能です。ホームスクーリングにおいて、親は何も教えていません。環境作りをしただけです。いや、その前に、土台づくりを全力で。大事なのは土台だけ。他はなし。

教育格差で上位層でない方々は、効率主義では上位層に太刀打ちできないかも。でも、土台づくりに注力すれば大きく形勢が変わります。努力次第では(もちろん土台づくりの努力です)逆転も可能です。日本人は古来、土台づくりをとても大切にしてきました。現代においても、いささかも揺るぎません。

土台主義はゴールを見ない

2023年9月25日

効率主義はゴールが明確な場合は大変有効なスキームです。スタートからゴールまでのプロセスを可視化しスケジューリングする。学校教育はまさに効率主義。子どもの育ちや学びにゴールはあるのだろうか?

受験は効率主義以外の何ものでもありません。設定したゴール(志望校合格)以外のことには見向きもせず、ゴールへの最短ルートのみ追い続ける。効率主義は目標達成には良いけど、そのぶん、そぎ落とすものが多すぎて、能力、スキル、知性を矮小化しがちです。そして人生をも矮小化してしまう。

土台主義はゴールを見ません。日々、己を耕す。どんな作物でも良く育ち、結果として効率主義をも上回ります。他人との比較は無意味です。あるときある部分でライバルに勝っても、己の人生を小さくしてしまうなら、バカバカしいではありませんか。より良く生きること、それより大事なものって何?

「土台づくり」は誰にでもできる

2023年9月27日

私が書いた本について、「すごい、あんなことはできない」という感想をしばしば頂きます。今日もそうでした。誰もできないことをお伝えしても意味がありません。誰にでもできることを書いたつもりです。

土台づくりをスキップして何かをやろうとするのは労多くして困難です。学校も塾も行かずに完全独学で国立大学に合格するというのは、土台づくりができていなければまず無理でしょう。堅固な土台があればまったく難しくはありません。勉強だけでなくどんなスキルも知性も社会性もまあなんとかなる。

目に見える結果・成果のみにとらわれたら「誰もできないこと」かもしれませんが、目に見えない「土台づくり」は誰にでもできることです。ここに注目するなら教育格差は消滅していくでしょう。ところが、目に見えないことは大事だと思えない。近代文明の罠です。効率主義の罠です。

多様なゴールに対応可能

2023年9月30日

土台づくりの難しさは、土台をつくればゴールにたどり着けるというプロセスを描けないことでしょう。土台とゴールが無関係に見えるのです。土台をつくってもゴールにたどり着けないように見えてしまう。

「スタート→ゴール」のプロセスに集中するのが効率主義であり、資本主義の肝心要です。ゴールが限定的であれば非常に有効です。だから西洋思想から生じた近代文明は強い。一方で、選択と集中をきわめるほどゴール以外の事象に対応できなくなります。教育、子育て、人生は効率主義でよいのでしょうか?

土台づくりに力を注げば、多様なゴールに対応できます。ゴールが難しく大きなものであればあるほど、土台づくりができている方がより効率的でもあります。土台づくりか効率主義かの二者択一ではありません。「徹底した土台づくり+効率主義」が最強である、というのが私の主張です。

稽古

2023年10月1日

私が主張する土台づくりが唯一の土台づくりで、それ以外は土台づくりではないということはありません。他の土台づくりについて私がコメントすることはなく、否定も肯定もしません。

私が言う土台づくりは目新しいものではなく、日本では昔から戦後まもなくぐらいまで普通に、広く行われてきました。わが国ではきわめてオーソドックスな学び方なのです。戦後、急速にアメリカナイズされたことで見失われてしまいました。現代には通用しないのか?そんなことありません。

土台づくりは、単純なことを毎日繰り返す、これだけです。これ以外に土台を作る方法はありません。効率的な土台づくりなどあり得ません。この部分は、私が主張する土台づくり以外の土台づくりでも共通しています。あとは「何を繰り返すのか」に違いがあるだけです。古典で言う稽古という言葉が近い。

主体的に生きるに必要なのは、知性

2023年10月2日

親として子どもに望むことは、自分の人生を自分で生きること。それに尽きるし、それ以外はなし。何が「自分の人生」かは自分が選択する。つまり、「主体的に生きてほしい」と同義です。

学歴、お金、社会的地位、職業など、瑣末な問題です。どうでもいいとまでは言わないけど、さほど大事なことではない。主体的に生きるに必要なのは、知性です。偏差値ではかれる学力ではありません。世の中で起きていることを理解し、自分にとって最善の生き方を選択していけること。

主体的に生きるのは自分単独では不可能なので、多くの人たちと共に生きていくことを念頭に置かざるを得ません。知性を高めれば高めるほど、多様性と共生に向かうしかない。「頭の良い人」が「自分さえ良ければ良い」と我欲をむき出しにするのは、まさに知性の欠如。わが子にはそうなってほしくない。

「頭の良さは生まれつき」ではない

2023年10月3日

主体的に生きるために知性が必要であるなら、私が考える「土台づくり」はまさにそのためのもの。読み書きを徹底しますが、知性を鍛えるための読み書きです。単なる読み書きとは違います。

「並のエリートでは到達しえない教養と学ぶ姿勢」と出版社さんがコピー文をつけて下さいましたが、それがつまり知性を鍛えることなのです。偏差値ではかれる学力とは異なりますが、偏差値ではかれる学力にも高いレベルで対応できます。偏差値はたかが偏差値にしか過ぎないので。知性の中の一部分。

知性の土台が堅固になれば、どんな学校でも、どんな先生でも、どんな参考書でも、ITでも紙でも、在宅学習でも、独学でも、方法や環境を問わず学びを進めていけます。「頭の良さは生まれつき」という考え方が根強いですが、そうは思えません。勉強ができない子はそもそも土台が脆弱です。

 

不登校が激増

2023年10月4日

不登校が激増したとのニュースが出ましたが、私が注目したのは世間の反応です。ホームスクーリングを含め学校外の教育をもっと広めた方がいいという意見がずいぶん強くなってきて驚きました。

わが家では2007年からホームスクーリングを始め、4人の子どもたちが小中高に1日も行かない完全ホームスクーリングを続けてきました。さらに、誰からも勉強を教わらず完全独学で勉強してきました。現在は順次、大学受験に挑戦中です。これができたのは幼少期から堅固な土台づくりをしたためです。

ホームスクーリングを希望される方に何人もお目にかかりましたが、皆さん、土台づくりをしていません。その状態でホームスクーリングは困難ではないかと思えます。ホームスクーリングには自らの意欲が必要です。土台づくりに注力すれば意欲も向上しホームスクーリングはさほど困難ではありません。

土台づくりは幼少期からがベストですが、何歳から始めても大丈夫です。現在何か(勉強など)がうまくいっていないなら、それをいったん休止して最低半年は土台づくりに注力すれば好転していくはずです。少なくとも土台づくりに弊害や副作用はありません。お金もほとんどかかりません。

 

(続きは次のページへ)

 

 

Follow me!