大学受験3 三年寝たろう
意図を持って
前回、ナツに続いてハルも大学受験をしたいと宣言しました。親としては、大学へいくことを提案はしましたが、大学へ行けとは言っていません。そして、どこの大学へ行けとも言っていません。
ただ、大学へ行こうと社会へ出ようと、なにがしかの意図をもってやってほしいです。そのことは強く言ってあります。なんのあてもなく、流されるように日々を過ごすことはしないでほしい。やってみてうまくいかないのはかまいません。何回失敗してもかまいません。なんでもいいから、やろうと思ったことをいっしょうけんめいやってほしい。大学へも何か意図を持って行ってほしい。そうやって、2人がそれぞれ選んだ志望校は、かなり難関です。(現在、受験進行中のため、志望校は明示しません。志望校が変わるかもしれませんし、大学受験をやめるといいだすかもしれません)
リテラシー
2人とも、受験を経験したことがありません。定期試験も経験したことがないので、点数をとるための勉強が未経験です。そもそも勉強は点数や偏差値、学歴のためにやるものではない、と考えているので、2人が(プラスその下の2人も)結果を求めない勉強をしてきたことはよかったと思います。結果を求める勉強だと、結果につながらない勉強を削減するでしょう。そして、手っとり早く結果を手に入れるためのあれこれ工夫をするでしょう。そういうことが必要な場面もあるでしょうが、まずは結果のためでない勉強を優先させてほしいと思います。
さて、受験は、結果を求めるものです。結果を求める勉強は初体験に近いです。結果を求める勉強をするには、どうすればいいか、ということも、自力で研究し、試行錯誤して欲しいです。そのこと自体が、人生の糧となるはずです。私は、手がかりを提供するのみにとどめます。自分の志望校の合格体験記は重要な情報です。ネットにもたくさんの情報があります。情報が多すぎるので、必要な情報を取捨選択し、自分なりに戦略を構築するリテラシーを身につけて欲しいです。せっかく受験をするのなら、そこまで踏み込んで人生の幅を拡げて欲しいです。
ハルのブランク
ハルは、高校の勉強を高校年齢の3年間、それなりにやったものの、定期試験がないため、復習して定着させることがじゅうぶんでなかったかもしれません。高校の勉強を卒業(高校卒業年齢の3月で区切り)してから、1年半のブランクがありました。大学受験するなら、ブランク無しで連続して勉強していればよかったのに。なんともったいない。半年後に受験しても、2浪年齢での初受験(現役のようなもの)です。
と、私は言うのですが、ハルは、期間工に行ったから大学へ行こうと思いたったんだ、と言います。期間工へ行っていなかったら、大学へ行こうとは思わなかった、って。
なるほど、そうかもしれません。高校の次は自動的に大学へ、というより、自分で道を探して選んで大学へ、という方がいいに決まっています。少々回り道をしたとしても。
ナツのブランク
ナツはハルより少し早くに大学へ行きたいと言い出しました。ハルの決意とは無関係に決意したのです。決意する直前まで、中2から3年あまりも、勉強にブランクがありました。まったくやっていないことはなかったのですが、大学受験には、はるかに不足です。ぜんぜん勉強する気がなかったので、まさか大学を言い出すとは思いませんでした。
大学へ行きたいなら、どうしてブランクなんか作ったんだ? 普通に勉強していればもっと楽に受験へ入っていけるのに。大学受験したいと言い出した高2年齢の8月下旬から、ようやく高校1年生の勉強を開始するのです。高校3年間の内容を半分の期間で修得するだけでもたいへんなのに、難しい大学を受験するなんて。
と、私は言うのですが、ナツは、勉強していないように見えた3年間は哲学をしていたんだ、と言います。哲学をしていなかったら、大学へ行こうとは思わなかったって。
なるほど、そうかもしれません。いわゆる、三年寝たろうですね。昔話の三年寝たろうにはいろんなパターンがありますが、そのなかのひとつ。ごろごろ寝てばかりでちっとも仕事をしなかった寝たろうが、3年たったある日、突然起き上がり、鍬を手に、うんと遠い川まで行って、用水路を掘り始めました。自分たちの集落に水を引こうというのです。少しずつ仲間たちがあつまり、みんなで力を合わせて用水路が完成し、実り多い集落となりました。寝たろうは、3年間寝ている間に、毎年日照りで苦しむ集落をどうすれば救えるか考え続けていたのです。遠くから用水路を作ることはだれも思いつきませんでした。続きは次回へ。