大学受験6 ハルの初受験

前回、進路選択について書きました。

ハルは2浪年齢で初受験(実質、現役)です。といっても、1年半の勉強ブランクがあって、半年受験勉強をしての受験です。勉強開始は9月上旬なので、共通テストまでは4カ月、二次試験までが5カ月半で、普通に考えて合格は無理でしょう。本人も、合格できなければもう1年がんばると言っており、私は1年半後が本番だと考えていましたが、表向きは半年後の合格を目指します。

戦略

ハルは、早い時期に合格体験記を見て、「ただ努力するだけではだめだ。戦略を立てて勉強しないと合格できない」と気づきました。まさにそれは、『失敗の本質―日本軍の組織論的研究―』(戸部良一他/中央公論社)でしっかり明かされたことそのものです。太平洋戦争における日本軍は戦略なき作戦遂行で悲惨な結果を得ました。それは、戦後の企業経営にも受け継がれてきました。昭和には「モーレツ社員」「24時間戦えますか、ビジネスマン」なんてフレーズもあったほどです。1984年に初版が発行された、やや古い本ではありますが、ここ1~2年ほどの日本国政府の政権運営を評する記事で同書が引用される例が目立つようになりました。

根性論が好きなのは日本人のDNAかもしれません。戦略的思考は欧米の文化の中で育ち、発展したものが世界中で学ばれています。目標が具体的で期限が明確な場合は、戦略的思考が非常に有効です。私は「道(どう)」を基本にした学び方を大切にしていますが、戦略的思考など、それ以外の手法を排除することはまったくありません。それどころか、積極的にさまざまな手法を学び、導入していきます。というか、様々な手法を学び導入することそのものが、日本人の伝統的な学びなのですが。

さて、受験における戦略なのですが、できる限り、本人が試行錯誤して打ち立てて欲しい。合格をめざすことは間違いないとしても、他人がかわりに戦略をたててあげるという形はなるべく避けたい。と、本人とも話し合い、戦略的思考の試行錯誤から始まりました。

勉強の経過

秋にはいくつも模試を受けましたが、結果が返ってくるのは1カ月あまり後になるので、最初の模試の結果を手にしたのが10月末です。基礎学力が不足していることが明らかでした。しかし、すでに入試がせまっています。本人は、今から基礎をやっていたんでは間に合わないと、ハイレベルの参考書や問題集に取り組んでいました。模試の成績はほぼ上がらず、本番を迎えました。

受験を終えて

共通テストは、意外に善戦しました。悪くない結果です。

二次試験までの間は過去問に集中していましたが、本人も合格には届かないことを感じていたようです。二次試験を終えて帰ってきたとき、そのまま、来年へのリベンジを口にしていました。合格発表を待つまでもありません。

課題

来年への課題は明らかでした。基礎学力の徹底と底上げです。高校3年間の勉強はしてきたのですが、定着が甘い。基礎が甘いと、その上に何も乗せることが出来ません。社会と理科はだいじょうぶです。短期間でもどうにかなりました。

課題は、数学が圧倒的で、続いて英語、それから古典です。基礎に注力すべき割合で言うと、数学6割、英語3割、古典1割ていどでしょうか。他の科目は実践で対応できます。英語は、英検2級があるのでそこそこはできるのですが、文法を徹底すること、基礎はそこに尽きます。古文も同様に、文法に尽きます。数学は教科書レベルの内容を徹底的に身につけること。

基礎

大学受験で、教科書の内容を超えることはほぼでません。でても、捨てればいいです。東大や京大でも教科書にのっていることがでます。それを組み合わせたり変形したりするから難しく感じるだけです。ハルは、その理解が出来なかった。難しい大学は、難しい勉強をしないといけないと勘違いしていたのです。私は秋頃、基礎の徹底をすべきと助言はしましたが、ハルは、そんなことやっていたら合格なんかできないと突っ走りました。戦略がだいじと分かっていながら、戦略なき根性論に陥っていたともいえます。まるでインパール作戦のようです。

逆に、この半年間、基礎に集中していれば、合格できなかったとしても善戦はできたはずです。ハルはまだ信じられないようです。私は、基礎の大切さを諄々と説きました。

ナツは、そもそも高校1年生内容を、高2年齢の後半にやっています。高3年齢で残りを勉強して、受験勉強してという段取り。ハルの経緯を見ていて、無理だと気づき、高3年齢の5月に、2年計画でとりくむと言い出しました。つまり、1浪での受験を本番と考えるということです。じつに懸命な判断でしょう。無理に短期間での合格を意識しすぎると、根性優先になりかねません。続きは次回

 

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