大学受験8 読解力

前回、科目ごとの基礎について書きました。その中で、ただ1つ、国語のうちの現代文につれて触れていませんでした。

国語は地盤

国語(とくに現代文)はどうやって勉強したらいいかわからないとか、どうせ日本語なんだから何もしなくてもそこそこできるとか、やってもやらなくてもそんなに点差は開かないとか、そうやってなめられることも多いです。あながち、間違いとは言えませんが、国語そのものでは大きな点差が開かないようでも、国語の力は他の教科の基礎の前にある地盤となって、勉強全体に甚大な影響を及ぼします。

教科書が読めない

2018年に出版された『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子/東洋経済新報社)は、2021年現在30万部の大ベストセラーとなっています。お読みになった方も多いでしょう。著者が多くの中高生で試したところ、驚くほど簡単な読解を、中学生の4割弱が、高校生の3割が間違えたそうです。しかも、進学校の高校生です。ということは、そもそも教科書を読めない生徒が中高生ともに、かなりいるということです。教科書を読んでも、書いてあることの意味が分からないのです。

このことは、じつは教育現場にいらっしゃる先生方は、かなり以前から感じていたのではないでしょうか。新井紀子さんの偉大な業績は、それを客観的なデータとして示したということです。さすが、数学の先生です。ただ、この本、教育書ではなくて、ビジネス書なんですよね。子どもたちの読解力がきわめて貧困であるなら、AI(人工知能)に太刀打ちできず、企業も人材確保が難しくなり、企業が淘汰され、AI恐慌がやってくる、かもしれないという警告の書です。

読解力

国語(現代文)の基礎は、教科書がすべてともいえません。国語の基礎とは、読解力と書く力に尽きます。口語文法は中学で習うので、もちろんきっちり教科書で修得しなければいけません。中学で口語文法をきっちり修得していないと、高校で文語文法を修得できません。漢字は、小学校ではきっちり修得しなければいけませんが、小学校の約1000字を修得できれば、そこから先はほぼ組み合わせで理解できます。読み書きをしっかりやっていれば、自然と身につきます。

読解力を磨かずに書く力を磨くことは、できないはずです。読解力を磨きつつ、書く練習です。書く練習も、作文などではなく、本を見て書き写す。教科書の書き写しもいいです。これを原稿用紙1000枚以上、できれば3000枚以上続ければ、文を書くことは自然と出来るようになります。書き写しについては、こちら(4回連載)もごらん下さい。

そういうあれやこれやをさしおいて、すべての勉強の基礎の下の地盤が読解力です。読解力には、浅い読解力と、深い読解力があります。ちなみに、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』がいう読解力は、私が言う浅い読解力よりもう一段表面的なもののようです。そもそも教科書は、全ての生徒が読んで理解できる前提でつくられているはずです。新井紀子さんは、教科書を読める程度の読解力を目標としています。非常に大事なことです。ただ、それは、ほんらいできて当たり前のことなのです。私が言う浅い読解力は、国語の力であり、ざくっといえば、多くの大学の入試問題は浅い読解力で合格点がとれるであろうものを言います。読解力の続きは次回へ。

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モモ(父)

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