大学受験15 「同じ」と「違う」

前回、1つの階層グループが7項目を越えないようにツリー構造を作っていくことで扱える情報を無限大にできると書きました。これこそが抽象概念の正体です。

仲間分け

幼児の知育教材などで、同じ仲間をみつけましょうというような問題をよく見かけます。たとえば、りんご、みかん、ぶどう、うどん、カレーライスがあれば、りんご、みかん、ぶどうが同じ仲間です。果物とそれ以外です。

じつはこれ、すごく大事なことをやっています。同じ仲間ということは、共通点を考えているわけです。ところが、共通点は目に見えません。幼児が果物の定義を考えているとは思えませんが、共通点とはそうではないものとの相違点を考えることと同じであり、「おやつとごはん」かもしれませんし「温かい食べ物と冷たい食べ物」かもしれませんし、「甘いものと甘くないもの」かもしれません。果物の概念をあるていど具体的に置き換えた思考をしています。温度や味は知覚可能な事象ですが、共通しているという概念は抽象的です。

構造の作り方

ツリー構造では、ある階層の項目を7つまでで1グループとします。このときに用いるのが「仲間分け」なのです。ある階層で、ABCDEFGを1グループとし、HIJKLMNを1グループとすれば、ABCDEFGにはなんらかの共通点があり、HIJKLMNにもなんらかの共通点があり、それぞれの共通点どうしは交わることがないという関係にあります。つまり、「同じ」と「違う」の表現なのです。

ABCDEFGには共通点があるものの、AとBは別物です。りんごとみかんは別のものなのに、果物という共通点があります。個別であるものの共通点を見出すことは抽象概念にほかなりません。そして、同階層の他のグループとは相違しています。「同じ」と「違う」は同時に存在する概念です。構造とは、「同じ」と「違う」を積み上げていく概念なのです。

そして、同じ階層レベルの「同じ」「違う」は同じレベルでなければいけません。

 

たとえば、ABCDEFGがそれぞれ個別の果物で、HIJKLMNがそれぞれ個別の麺類だとしたら、①は「果物」で、②は「麺類」です。Ⅰは「食物」でしょう。③④があれば食物の種類になるはずですし、ⅡⅢⅣがあれば生活の分野(住居、衣服など)になるはずです。

構造の含世界性

構造という概念の問題点として、概念を単純化するあまり具体的な事象、ささいな(それでいて大切な)情報をそぎ落としてしまうということが言われます。

昔話は、極度に純化するが故に含世界性を有するというのが、マックス・リュティの主張です。単純な枠組みにすれば世界を分断すると思われますが、そうではなく、世界そのものを含むようになるというのです。

このからくりは、次回にお話しします。

 

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