独学で大学受験 9 テレビとの接し方

 

子どもに与えたくないものが3つある。テレビとゲームとスマホ。教育に意識の強い親は、たぶん同じ思いだろう。

私が子どもの頃は、子どもに与えたくないものはテレビだけだった。私はテレビを見るのはあまり好きではなかった。まったく見ないわけではないが、長時間、たくさんの番組を見たいわけではなかった。京都大学に現役合格できたのは、テレビをあまり見ないということが要因としてあったように思う。ついでに視力も悪くない。子どもの頃から、1.2を下回ることはなかった。還暦に近づいた現在でも、メガネは不要だ。毎日、長時間パソコンを使って仕事をしているにもかかわらず。やや視力が低下気味で、老眼もすこしでているが、いまでも、1m離れても新聞を読める。テレビをあまり見なかったおかげか。

今の子は、テレビとゲームとスマホか。たいへんやなあ。全く禁止するのも逆効果だろう。子育てで、禁止と制限はなるべく控え目にした方がいい。禁止と制限は、子どもを好ましくない方へ向かわせることになりがちだ。かといって、禁止も制限も無しにしてしまうと、子どもが好ましくない方へ行ったきり戻ってこないかもしれない。親と子のかかわりから生まれる「ほどよい」対応が良いと思う。

第一子は手探りだった。テレビは禁止も制限もしなかった。2歳の頃、忍風戦隊ハリケンジャーが大好きだった。3歳になると、爆竜戦隊アバレンジャー。テレビ放送をビデオ録画(当時はビデオデッキだった!)すると、次の週までに同じ放送を何度も繰り返してみようとする。妻が心配して、てきとうにやめさそうとするが、第一子は抵抗する。そりゃそうだろう。

私はためしに、放置することを提案した。なんぼでも、見たいだけ見させる。止めない。妻は納得しなかったが、とりあえず、様子をみた。

ある日、同じ放送を十何回か繰り返してみた。30分の番組だから、ほぼ丸一日みていた計算だ。さすがに私も心配になってきた。夕方、第一子が言った。「もう飽きた」。そして、見るのをやめた。それ以降、アホほど繰り返して見ていたのが、変わった。

放置作戦はいちおう成功したようだ。「北風と太陽」の太陽作戦だ。いつもうまくいくとは思えないが、たまにうまくいくこともあるらしい。あなたがマネをしてうまくいくと保証はできない。やるなら自己責任でどうぞ。

それ以降、第一子はテレビとはほどほどにつきあえるようになった。その下地にあるのは、読み聞かせだ。大量の読み聞かせの後、5歳ごろから自分でどんどん本を読んでいくようになった。小学生になると、大人が読むような本を平気で読む。本を読むことが楽しいという。そうなると、テレビをみても、本へ戻ってくる。テレビより楽しいことを知れば、テレビへ行ったきりにならないようだ。

このことは、第二子、第三子でさらに鮮明になっていった。前回書いたように、第二子、第三子と、読み聞かせがグレードアップしていったのだ。グレードアップというのは、正しい昔話へ特化していったという意味だ。昔話はテレビより強い。じつは、第二子、第三子とも、テレビはほとんど見ていない。DVDがメインだった。昔のアニメを借りてくると、夢中で見た。巨人の星、タイガーマスク、魔女っ子メグちゃん、サスケ・・・

なんぼ古いねん!とつっこみが入りそうだが、そのとおり。たいへん古い。梶原一輝の「巨人の星」「タイガーマスク」なんて、時代背景も価値観も違いすぎる。巨人の星は虐待だろう。タイガーマスクも戦災孤児の孤児院だ。なのに、のめり込んで見ていた。サスケはシングルファザーの物語であり、父親になった私が見ると、深く考えさせられる。大人が見ても、古いアニメは作りが深い。古典のような性格だ。このようなものを見るのも悪くはないかも知れないと思った。となると、現在作られているテレビ番組があまりにも薄っぺらく見えるらしい(子どもたちがそう言った)。

そして、見た後は、本に戻ってきた。

アニメついでに、コミックにもふれておこう。わが家には、コミックもたいへん多い。1万5000冊をこえる蔵書のうち、コミックだけで1000冊をゆうに超える。手塚治虫のほぼ全作品、ドカベンシリーズ全作品、その他、一球さんなど水島新司の主要作品、巨人の星1・2、サスケ、カムイ伝シリーズ全作品など白土三平の主要作品、天井の虹など里中満智子の歴史マンガ、日出処の天子・・・その他無数

なんぼ古いねん!そのとおり。このような古典的コミックは、テーマが深い。昔話を浴びてきた子どもたちは、このぐらい骨のあるコミックがちょうどいいらしい。とくに白土三平は、大学の教科書に使われているぐらいの深いコミックだ。

テレビについて、第四子のケースにふれなかったのは、わけがある。少し先になるが、困ったことになった。このことを書くのは数回後になる。

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