独学で大学受験 25 スランプなき第三子
第三子も第二子から2年半あけて生まれてきた。第二子とは2学年ちがう。第三子が生まれてくるころには、昔話の重要さを強く認識しており、読み聞かせは昔話に特化していた。たまに、昔話以外の、三世代伝わる絵本も読んだ。
同じ読み聞かせをしているようでも、第一子と第二子では内容が違う。第二子と第三子でも内容が違う。とうぜん、第三子の昔話に特化した読み聞かせがハイクオリティだ。第一子、第二子には親の至らなさをお詫びするしかない。愛情は変わらなくとも、差ができてしまう。
第三子は言葉も早かった。早すぎるかも知れない。2歳過ぎには、単語でなく文を話していた。あるとき、「だっこして」と言ってきたのに対して、「今仕事中だから、あとでね」と私が言ったら、「あーあ、パパは○○のこときらいなのか」と第三子が言ったのでびっくりして「そんなことないよ」って抱っこしたら、第三子はペロッと舌を出していた。2歳3カ月のことである。
何度も言うが、早いのがよいわけではない。とはいっても、第三子の知性の成長ぶりは驚くほど早かった。幼い頃から「勉強大好き!」といつも言っていた。計算をするのが趣味だったかもしれない。小学生になるころには、九九を完全にマスターし、2年生あたりの計算は楽にこなしていた。漢字も早かった。本を読むのもすごいペースだった。
小学生になって、『自由自在』は軽々とこなした。書き写しも小学生になるずっと前から、毎日1枚ずつ、楽しんでやっていた。
ペーパークラフトも大好きで、非常に細かいものをたくさん作った。第三子が自分のパソコンを使いインターネットで探して、厚紙を数十枚印刷する。そうやって恐竜をたくさんつくた。天井がジュラシックパークになってしまった。恐竜以外のものもたくさん作った。しつこいけど、わが家は道具と材料は無制限だ。
読書量もすさまじい。小学生のうちから、平均的な大人がなかなか読めそうにない本をふつうに読んでいた。分厚い本も平気だ。学校に行っている子がこれだけたくさん読むのは絶対に不可能だ。あきらかに第一子よりも第二子よりも大量に読んでいる。
短編、長編の小説もよく書く。夏休みに3枚ほどの読書感想文が宿題に出て呻吟する子が少なくないが、第三子は300枚でも平気だ。
それでいて、インドア派でなくどちらかというとアウトドア派だ。山や滝の冒険・探検は大好き。畑作業もよくやる。長時間、長距離を歩くのも楽しいらしい。
小学生低学年あたりではDVDも見ていたし、ゲームもやっていたが、小学生高学年ごろからはテレビ、ゲームはほぼ見向きもしなくなった。
中学生ではさらに学力に磨きがかかる。第一子、第二子のようなブランクやスランプがまったくない。学校に行っている子は毎日6時間の授業があるだろう。第三子の勉強時間はもっと短い。勉強ができる子は塾や自宅学習にも多くの時間をさくだろう。そういう子と比べれば第三子の勉強時間はうんと短い。独学ができるようになると、先生から習うよりも短い時間でたくさんのことができる。
高校進学はしないが中3で模試をたくさん受けた。その成績には驚くしかない。京都大学に現役合格した私が中3だった頃の成績より明らかに(というか大きく)上回っている。易しめの模試だとほぼ全科目満点だ。カンニングが疑われるレベルだ。
第三子は小6から、ラテン語とタミル語もやっている。もちろん、親がさせるわけはない。本人の希望だ。中3ごろには、ラテン語もタミル語もペラペラだ。ラテン語の原書も読んでいる。
中3で英検準2級に合格した。大幅に余裕があったので、中3のうちに2級も受けたら、準1級に合格可能なほどの余裕をもって合格した。
中3の夏から秋にかけて、中学の内容は全部終わり、模試の成績を見てもこれ以上することがないので、高校の勉強に移行した。
小中高と1日も学校へ行かず、塾も習い事もない。親が勉強を教えることもない。完全独学でハイレベルに教科学習を習得している。
高1年齢で駿台模試を4回受けた。中3時点よりさらにパワーアップしている。大学ごとに判定がでるのだが、すごいことになっている。
高1で高卒認定に合格し、現在高2。本人は大学進学を強く希望している。大学で学びたいことも固まっている。今後、怖いのは油断だけ。
第三子は、読み聞かせ、書き写しを質、量ともに徹底した。パワーの源泉はこれだけだ。こんな、誰でもできる、お金もかからない、それでいてえげつない成果をもたらす重要な秘密を、誰も知らない。どうせ言ってもだれも聞かないから、言うの、やんぴ。
第三子は、ふつうに学校へ行っていたらこの学力は無理だと言っている。ホームスクーリングだからこそ、と。第三子と同等かそれ以上の成績の子たちは、たぶん起きている時間の大部分を勉強にあてているだろう。厳しい競争にさらされ、死に物狂いかも知れない。第三子はずいぶんのんびりしている。親は、第三子に対して「勉強をしなさい」と言ったことは一度もない。自己管理、生活習慣などに関しても、なにも言ったことがない。やりたいことはできるだけ実現させたいしその支援は惜しまない。
第一子、第二子と比べると、第三子はドラマがない。あまりに順調すぎる。きっと、大学進学後にドラマを作ってくれるだろう。親はなにも期待していないから、てきとうに頑張れ! (親が変な期待をすると子どもにとってろくなことはない)