独学で大学受験 28 おでかけ

 

 

 

わが家の経済危機が落ち着いて、なんとか暮らしていけるようになった2014年から、積極的にお出かけを始めた。

1999年、結婚した年には、夫婦で仲良くあちこちおでかけしたが、2000年に第一子を妊娠してからは、ほとんどおでかけしなかった。近場ならあちこち行ったけど。

なにしろ、4人の子が2年半間隔でつぎつぎと生まれてきたものだから、妊娠→出産→育児→妊娠・・・と、間断なきループをまわっていた。子どもファーストなので、おでかけは困難だった。

とはいえ、その間、京大、生協、積水化学工業など、他にもじつに多くの団体が童仙房へ来たので、出かけなくとも地元で盛りだくさんな活動をできたのだった。

わが家はホームスクーリングなので、遠足も社会見学も修学旅行もない。学校へ行っている子が普通に体験することが欠落してしまう。わが家の危機が去ったとき、第四子が小学生となった。もう幼児ではない。

奈良、京都、大阪といった比較的近い場所(自動車で1~2時間くらい)の有名ポイントをくまなく回った。京都市内の主な寺社はほとんど行ったと思う。動物園もあちこち行った。姫路のサファリパークも行った。海遊館も行った。科学館(名古屋と大阪)も行った。城もあちこち行った。博物館もかたっぱしから行った。工場見学も行った。古墳巡りは趣味であるかのようだ。

遊園地も行ったが、子どもたちは鈴鹿サーキットのモートピア一択だった。他の遊園地も連れて行ったが、興味を示さなかった。モートピアは、自分で乗り物等を操作(運転)できる。じっと座っているだけの乗り物は面白くないと言う。モートピアはたくさん行った。USJも行った。楽しかったと言うが、1回行っただけでもういいとのこと。

Jリーグやサーカスにも連れて行ったが、野球場へ行ったとき、スイッチが入ってしまった。最盛期には1年で10回ほど野球観戦に行った。最初は、甲子園へセンバツを見に行った。日本の風物詩を経験したらいいだろうぐらいに思っていたし、1日に3試合あるうち、1試合だけ見れば帰ろうと思っていたら、3試合とも見たいということになって、たいへんな1日となった。高校野球もプロ野球もおもしろいそうだ。

ちなみにプロ野球は京セラドーム大阪ばかり。オリックスの試合は、ゆったり観戦できていい。(^_^;  ちなみに第四子は8年間もオリックスバファローズのファンクラブに入り続けている。第三子はコロナまでの4年間。

甲子園での高校野球観戦はあまりに過酷なので、2018年春を最後に、行っていない。第二子は大学生になったら友達と行くと言っている。

女子プロ野球も観戦に行っていた(今はもうない)。試合終了後、グラウンドにおりてキャッチボールをしたり、選手たちとティーバッティングをしたり。選手との距離が近いのがよかった。

2016年に奈良県明日香村へ行ったとき、これまた別のスイッチが入ってしまった。明日香村は、古代の寺院跡やら比較的小型の古墳やら、よくわからない石やら、地味なポイントばかりだ。なのに、なぜか惹かれるらしい。

里中満智子さんの『天井の虹』を読んだら、ますます飛鳥にのめり込んでしまった。どんどん飛鳥オタクになっていった。歴史も古代に異常に詳しい。

さらに大元出版の書籍により、飛鳥が拡張した。大和朝廷の前身である古代出雲王国の王家の直系子孫が直伝してきた歴史を書籍に記すため立ち上げた出版社だ。古代史はトンデモ系も多いが、出雲伝承はおもしろい。学術的にわかっていること、発掘された遺跡や遺物、古い神社の由緒などがきれいにつながる。邪馬台国についても正体を明示している。なるほどとうなるばかりだ。古事記や日本書紀についても、なぜ、どのように書かれたか、明示している。いつか、学術が出雲伝承を証明する日が来るだろうか。歴史の話は深入りせず、このへんでやめとこ。

出雲伝承により、行きたいところが広がった。

出雲に2回、家族旅行をした。出雲伝承の重要ポイントは、観光客がほとんどいかないようなところばかりだ。連休なのにどこへ行っても人がまばらだった。出雲伝承をふまえて見学すると、非常によくわかる。

出雲伝承は、出雲だけでなく、飛鳥、滋賀、京都南部、丹後、大阪南部、大阪北部など、あちこちへ広がる。熊野、九州、愛知、岡山も行ってみたい。

子どもたちは、歴史が大好きになった。第二子が高校の日本史を勉強したときに言ったが、教科書に出てくる古代の遺跡や古墳は全部行ったところばかりだ、と。そんなことはないと思うけど、そう思えるほど精力的にでかけた、というのは間違いない。

家族旅行といえば、広島にも行った。出雲関係と、原爆関係だ。原爆資料館では、子どもが気分が悪くなった。これは大事なことだ。戦争をゲーム感覚で語る人が増えてきたが、現実は軽々しく扱えるものではない。資料館の外で平和記念公園を歩いていたら、ボランティアガイドさんが近づいてきて、ガイドをしてくださった。一般ではわからないことを教えてくれたり、入れないところへ入れてくださったり。とてもありがたかった。

気分が悪くなったといえば、もうひとつ。神戸の「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」だ。阪神大震災が起きたときの映像と音をリアルに再現し、揺れも再現する。恐怖のあまり、第三子が耐えられなくなった。これも大事だ。リアルの(本当はバーチャルだが)恐怖を体験する。

お出かけは、自分の身体で学ぶことになる。読書は非常に大切だ。あわせて、身体の学びも大切だと思う。ただ楽しかった、で終わるのではなく、血になり肉になることを願う。

博物館、歴史館、資料館といった施設は片っ端から訪れた。どこも非常に人が少ない。立派な建物で、貴重な資料を守り展示している。わが国の宝に違いない。でも、人気がない。不人気と言われるオリックスバファローズの最下位が確定した後の消化試合の方がはるかに観客が多い。なんともったいない。そのぶん、わが家はゆったり見学できるからいいのだが。

最近、とくに第四子が博物館の見学に長時間かけるようになった。良いことだ。親はせかさず、じっと待つ。

おでかけは、親が行きたいところに行くのではなく、子どもたちが望むところへ行った。親は提案はするが、主導ではない。わが家のホームスクーリングは、あくまでも子どもたちが主役だ。親はサポート役。非常にたくさんおでかけしてきたことが、子どもたちにとってどうなっていくだろう。大人になったら、いつかふりかえって聞いてみたい。

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