[本を書いた12]知性を磨くために

本を補足するような内容をTwitterに書いています。そのなかのいくつかをまとめて掲載します。(その3。追加中)

 

ファーストステップ

2023年7月12日

知性を磨くために最も適切なファーストステップ、そしてロングステップは昔話です。昔話=知性ではないし、昔話=学力でもありません。でも、昔話から知性も学力も生じます。断言してもいいでしょう。

『サピエンス全史』では、人類を繁栄させたものは虚構だといいます。虚構のさいたるものは国家、貨幣、宗教ですが、誰が見ても異論ないと思います。虚構とはそもそもストーリーで、人類の太古の昔から全世界で語られてきたのが昔話です。昔話は時代遅れの役に立たないガラクタだというのは間違い。

昔話はいつの時代もどんな場所でもどんな民族でも人類にとって最強のツールです。昔話は作家がつくった創作話と違い、無数の人びとが協働作業で作り上げてきた知的遺産です。昔話は創作話や文学と異なり独特の構造や仕様を持ちます。その根本は究極の単純構造であるがゆえの無限の豊かさです。

昔話には教訓も感動もありません。あるように見える話もありますが、教訓や感動など瑣末な問題です。人類が頭や心を使う基本中の基本なのです。しかも、昔話はお金がかからない。全世界、オープンです。書物の形で買えば書物分のお金はかかりますが、昔話そのものは著作権フリー、料金フリーです。

このことに気づいたわが家では、4人の子どもたちに徹底して昔話(改変されていないもの)を読み聞かせし、その後は子どもたちが自分で書物から昔話を大量に読むようになりました。だから小中高に行かずとも完全独学が可能となったのです。同時に知性を磨く長い旅。ゴールはありません。

 

セカンドステップ

2023年7月14日

知性を磨くためのセカンドステップは書き写し。本を横に置いて原稿用紙に書き写す。ただこれだけ。必要なお金は微々たるものです。能力関係なしに誰にでもできる。平凡なものには価値がないと思う人多し。

書き写しには劇的な、壮大な(形容の言葉が見あたらない!)効果があります。昔話の読み聞かせと書き写しによって、うちの子たちは完全独学が可能となりました。誰からも勉強を習わず、参考書のみで、小中高の内容をマスター。生まれつきとか遺伝子とかいう人もいるがそんな馬鹿なことはない。

書き写しがどのように、どれほど効果があるかはエビデンスを作れないでしょう。書き写し以外の条件を同じにして長期間大勢の子どもたちで試すなんて、非人道的でもあります。書き写しは私が思いついたのではなく、遙かな昔から多くの方々が取り組んできました。実績と蓄積のある修練です。

学び、勉強、学習などと言わずに修練と言ったのは、誤解を避けるためです。書き写し=知性ではないし、書き写し=学力でもありません。でも、書き写しから知性も学力も生じます(昨日、昔話について同じことを言った)。昔話も書き写しも土台です。土台があれば驚くほど多くのことが可能になります。

昔話も書き写しもなしで高い知性、高い学力を身につけた方もたくさんいるでしょう。知性や学力を伸ばしたい方はいかがでしょうか。お金がかからず副作用もありません。リスクゼロです。ただし時間は必要です。競争パラダイムにとらわれている人には耐えられないかもしれません。ウサギとカメ。

 

サードステップ

2023年7月15日

知性を磨くためのサードステップは大量の読書。読書と学力や知性の関係は私が言わなくても昔々から広く言われています。一方、読書しても学力が上がらないとか、子どもが読書しないとかいう声も。

子どもに本を読ませようとすると子どもを本嫌いにさせることもあります。子どもが読む本の内容を誘導しようとするのも逆効果になりがち。できれば自然と本好きになり徐々に難易度の高い本を楽しんで読むようになっていけば理想的でしょう。親の仕事は子どもがリクエストする本を買うか借りるか、だけ。

わが家は4人ともそうなりました。やはり、物事は順序だと思います。本物の昔話をたっぷりと読み聞かせしたら、自分でも読みたくなります。まずは昔話。続いて創作話や文学にも広がっていきます。ノンフィクション、ドキュメント、社会問題、数学・科学などにも。そのうち専門書もスラスラと。

いきなり難しい本を読ませたって、そりゃ無理です。何事も順序です。とくに最初の第一歩です。ファーストステップが適切でかつ十分なら、あとは自然と車輪が転がるように進んでいきます。効率第一の資本主義パラダイムでは辛抱できないかもしれません。毒におかされていると言えるかも。

子どもたちは(大人だってそうです)今できることより少し手ごたえのあるものを望みます。あるゲームが簡単にクリアできるようになったらもう少し難易度を上げたくなるでしょう? そうやって積み上げていった知性の土台は堅固です。ハリボテの知性・学力と同じではありません。

 

目の前の小手先の方法に依存する人多し

2023年7月16日

土台を作れば、あとは自然とうまくいく、という発想はそうとう難しいらしい。目標を設定して計画を立て堅実に実行し評価する、という方が難しいと思うのだけど、世の中、PDCA信仰が強い。PDCA教かも。

学校教育もまさにPDCA(Plan, Do, Check, Action)で回っています。わが家は完全ホームスクーリングの完全独学でしたが、ほぼ子どもまかせ。なぜそんなことができたかというと、堅固な土台づくりをしたからです。それ以外に何もない。独学の方法や勉強の方法など何もないし、必要もありません。

土台づくりが理解できなければ、遺伝、生まれつきと理解するか、特殊事例と理解するかということになるでしょう。土台づくりは平凡で誰にでもできることです。超簡単だけど、継続は難しいかもしれません。だから大事なことは継続に尽力することです。他のことは全部後回し。日々、土台づくり。

野菜作りで考えてみましょう。化学肥料と農薬をじゃんじゃん使って収穫することもできます。たゆまぬ管理が必要です。無理をしている分、病気、連作障害などにも悩まされます。かたや、土作りが第一だ、という考え方もあります。種や苗を植える前に堆肥をすき込み時間をかけてじっくり良い土を作る。

健康で言えば、薬漬けで健康を維持しようとするのか、良い生活習慣で健康を維持しようとするのかの違い。暴飲暴食、飲酒喫煙、睡眠不良、運動不足、ストレス過多で健康になろうとするのはそうとう困難。知性や学力も同じと思うのですが、目の前の小手先の方法に依存する人多し。教育産業、ウハウハ。

 

人生でいちばん大事なことは

2023年7月17日

土台づくりは効率優先のPDCAサイクルではありません。ゴール(目標)を設定してその達成を目指すというスタイルでは得られるものが小さすぎる。そう、ゴールとは目標ではなく人生のゴールなのです。

ビジネス書のベストセラーである『7つの習慣』の「第2の習慣」は「終わりを思い描くことから始める」です。自分の葬儀の場面を思い描くのです。自分の人生において何が一番大事だったのか、と。それを念頭に置いて今日を始めます。まさにこれ。土台づくりが思い描くゴールは人生のゴールなのです。

いちばん大事なことを一番に考え、土台に据える。小さな個々の目標は土台に乗っかっているものに過ぎません。昔話はいちばん大事なことを考えるよう、私たちに迫ります。書き写し、読書も、大事なことをさらに深めます。修練とはそういうもの。方法や効率ではこうはなりません。

知性は生きる力そのものであり、到達すべきゴールはありません。無限、永遠。学校教育の勉強には事細かにゴールが設定され、評価されます。うちの子たちは学力よりも知性を磨くことに力を注いできました。どこまでいっても道半ば。大学受験も道中の通過点に過ぎません。

子どもたちに知性を求めよと説いたわけではありません。自然と、自然と、知性を求めるようになっていきました。より良く生きたいという思いなのでしょう。人生のゴールを思い描けば、知性を求めざるを得ません。土台づくりがしっかりできれば、自然とこうなっていきます。

 

(続きは次のページへ)

 

 

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