[本を書いた13]時間泥棒の暗躍
本を補足するような内容をTwitterに書いています。そのなかのいくつかをまとめて掲載します。(その4。追加中)
お金がかかりすぎる
2023年7月18日
少子化の原因は第一に子どもの教育にお金がかかりすぎることとよく言われます。教育格差の主要な原因とも言われます。「そんなことないよ~」と叫んでも響かないのは新自由主義に洗脳されているから?
お金がかかりすぎることへの対応として、政治的、社会的な子育て支援や政策・施策が必要なことは言うまでもありません。でも、それだけでは十分な成果を得られないだろうと多くの人が感じているのでは? 支援した分でさらに競争が上積みされて激化するということもあり得そう。
子どもたちにしっかりした土台を作れば、自分で勉強していけるので塾や特別な教材は不要です。完全独学ですら可能ですが、学校の予習復習と授業があれば高度に学力がそなわります。社会性、生きる力など自然と身につくなら、どこにお金が必要? まずは洗脳解除をめざそう。特権階層の抵抗あるかも。
高学歴を得なくても高い学力・知性がそなわるなら学歴が指標とならず、社会に出て多様な可能性があり、多様な道が拓けます。もちろん大学受験してもよし。完全独学であっても東大・京大含む難関大学、全科目必須の国立大学も射程に入ります。ならばどんな環境でも大学受験問題なし。洗脳解除。
教育産業さん、子どもたちを顧客から解放してあげてください。これからは生涯学習の時代です。わずかばかりの子どもたちを囲いこまなくとも、ターゲットを変えることで、膨大な潜在顧客がいるはず。大学も、高卒のみならず社会人へウィングを広げつつあります。人生100年時代、『Life Shift』!
現代は短気加速
2023年7月19日
「急がば回れ」「短気は損気」「急いては事をし損じる」わが国の先人たちは素晴らしい人生訓を遺してくれました。私が子どもの頃「あわてる乞食はもらいが少ない」とよく言っていました。現代は短気加速。
キレる人、待てない人、「コスパ」「タイパ」などの効率至上主義者、激増中。どこかで見たような、デジャブのような……思い出した!『モモ』の世界だ!私たちを急げ急げと駆りたてている新自由主義の正体は灰色の男たちなんだ!そうだ、エンデは「主題は時間でなくお金だ」と言っていた。
お金が時間を奪っていく。コスパ、タイパの「パ」はお金ですね。すべてをお金で測る。教育や子育てもお金で測る。「千の倉より子は宝」はいずこへ?現代は「子はコスト」です。そりゃ、子どもが減る一方ですってば。だとすれば新自由主義パラダイムで少子化対策は不可能となります。ま、そうかもね。
西洋には「ウサギとカメ」のお話があります。油断大敵と理解されることが多いでしょう。「人生のゴールを見据えて地道に今日を生きるのが最強」という理解もあります。そういえば、『モモ』で人々を灰色の男たちから救い出したトリックスターもカメ。田舎に住むわが家は近くをカメが歩いています。
「独学の力」は土台づくりであり、まさしくカメです。カメは時としてウサギに変身することも可能です。必要があればウサギより上手にコスパやタイパを扱える。ウサギはカメになれない。カメ、最強説、ここに現る。でも誰も信じない。灰色の男たちが人々の耳をふさいでいる。世界の運命や、いかに。
灰色の男たちは絆を分断する
2023年7月20日
わが家だけがカメではない。世界の救世主を気取ってもそんな力はない。世界中でカメをさがしてみよう。「カメをさがせ!」絵本化決定!なわけないか。『いるいるカメがすんでいる』(わかる人いる?)
スローライフ、アナログ派、オルタナティブ教育、伝統的な健康法、伝統的な農法……。なんぼでも出てくるぞ。じつは学問じたいがカメです。性急に成果を求めて地道な積み重ねを許さぬ新自由主義的発想で学問を駆りたてるのはまさに亡国。灰色の男たち、高度な戦術。やるなぁ……(感心してる場合か!)
灰色の男たちにとらわれる人急増中の一方で、カメも増殖中。カメは大きな遠い理念をだいじにするのでセクト意識が強くなりがち。「大きな共通項」を大事にしませんか?「違いのわかるカメ」であるよりも。そして灰色の男たちにとらわれている人々も敵ではない。私たちと「おなじ人々」です。
『星の王子さま』はファンタジーの顔をしたレジスタンス文学だと考えています。断言してもいいでしょう。その根拠は、サン=テグジュペリの日記です。戦争に対してどのように抵抗するかというと、戦闘行為ではなく、絆です。6人の変な大人たちは絆の欠けた「よくある大人たち」の姿です。
灰色の男たち(新自由主義)は私たちの絆を分断します。格差拡大、分断化の進む世界を見れば一目瞭然。お金や時間も大切だがもっと大切なものがあるでしょう?私たち人間は個々が尊厳をもった存在です。ああそうだ、尊厳という概念がわからなくなっているんだ、今の世の中は。灰色の男たち、手ごわい!
絆の分断が教育格差を生じているのでは?
2023年7月21日
「性急さ」が一番の問題だと思います。現代文明、世界が抱えるありとあらゆる問題の根源。だから、追われる。時間に、お金に。早く、早く、早く! すると、弱肉強食、思考停止、強迫、分断、暴力、錯乱。
私は大阪生まれで18まで大阪育ち。大阪人は苛ち(いらち)と言われます。ねっからのせっかち。その一方、ボケとツッコミは必須(子どもの会話でも。最近はそうでもない?)。間(ま)をだいじにするせっかちです。だから人情にも篤い。他人事と思えず首を突っ込む。現代人の性急さは病的かつ暴力的。
『モモ』は新自由主義が席巻する前に書かれた作品ですが、見事に本質をついています。灰色の男たちの策略によって私たちの絆が切断されています。やつらの策略、みごとです。絆が数値化されていますから。友達の数、フォロワー数、視聴者数、観客数、アクセス数……。絆のつもりで数字を追いかけてる。
灰色の男たちにとらわれてしまうと、待つこともできず、立ち止まることさえできなくなる。引き返すことも、撤回することも。謝ることもできず、相手を理解することもできない。悪いのは私でなく、あなた。それが「自己責任」の意味。教育格差もこの文脈で生じていると思いますが、いかがでしょうか?
不登校は「気づいた人たち」なのかも。学校へ行っている子たちにも「気づいている人たち」「気づきつつある人たち」はいる。いちばん気づいていないのはエリート、上級国民など、階層の上位にいる(勝ち組と言われる)人たちかも。灰色の男たちの誉れにあずかる人々。変えていこうよ、静かに、地道に。
時間とお金に追われる
2023年7月22日
灰色の男たちは実在の誰かではなく、あくまでもメタファーです。実在の誰かを悪と決めつけて敵視するのもまた灰色の男たちの企み。メタファーでありながら実在。人間ではなく実在するパラダイムのこと。
灰色の男たちの正体は新自由主義パラダイムではないでしょうか。私たちは年々時間とお金に追われるようになってきています。そして心に余裕がなくなってきています。軽重問わず過ちをおかした人を苛烈に追い込みます。誹謗中傷もすさまじい。考えることも感じることも少なくなり、反応するのみ。
子育てや教育でさえもお金で考える。子ども1人生めばいくらかかるかって、おかしくないですか?教育に多大なコストがかかるならリターンがほしいという発想。それ、変。大きなコストをかけても莫大なリターンを得られるのが勝ち組。コスト回収できないのは負け組。大きな声で言います。変やで~!!
お金と時間は表裏の関係かもしれません。お金に追われるほど、時間に追われてしまう。私は生まれてから28年間、都会で暮らしてきました。その後同じくらいの時間を桃源郷のような田舎で暮らしてきました。田舎に移住してすぐ、時間の流れ方が違っていることに気づきました。時間は一律ではない。
田舎でも時間の流れが年々速くなっています。年を取ったからではありません。時間に追われる。お金に追われる。そのペースが上昇しています。時間泥棒がいるのです。モモやカメ(カシオペイア)が助けてくれるといいのですが、今なら私たちの努力で何とかなる。時間泥棒は私たちが生み出したのだから。
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