[HS8]遅すぎるか?
勉強には理解と反復が大切だ、と前回お話ししました。理解に必要なのは読み書きの力で、これもまた読み聞かせと書き写しの反復です。反復という行為にお金はほとんどかかりません。有能な指導者が必要なわけでもない。今かよっている学校の授業で十分です。となると、どんな田舎に住んでいても、お金に余裕のない家庭でも、子どもが勉強できるかどうかは関係ない、ということになります。幼児教育、早期教育、中学受験もなくてもかまいません。塾もなくてもかまいません。
読み書きの力を大きく育てて理解力が身につけば、すなわち独学でさえも可能となります。わが家が完全ホームスクーリング・完全独学で国立大学に合格できているのも、当然と言えば当然です。第一子は小学生の間ほとんど勉強せず、18歳で高校の勉強を終えて1年半の勉強ブランクがあって、大学受験を志しました。第二子は中1から高2にかけてほとんど勉強しませんでした。それでも第一子は三重大学、第二子は大阪大学です。勉強にブランクのなかった第三子は京都大学現役合格です。
わが家は超田舎で、小中高校にただの1日も行かず、塾や予備校も無縁で、親が勉強を教えることもなく、独学でやってきました。理解と反復。これだけです。そして、親は子どもに圧力をかけない。「勉強しなさい」は有害無益です。子どもが望むことは無制限に望むだけ(可能な範囲で)させるけど、望まないことは無理強いしない。無理に勉強させることはしない。そんなことをしたら子どもはまったく勉強しないのでは? 読み書きの力をつけなかったらそうなりますね。読み書きの力があれば主体性がそなわってくるので、大丈夫。
親の仕事は、子どもがやりたいことのサポート。見まもり。相談にのること。押しつけにならないようなアドバイスと対話。子どもの話をじっくり聞くこと。
さてさて、もしこれからお子さまが生まれるなら、どうしましょう。理解と反復を心がけて頂ければ、勉強で苦労することはないでしょう。
あるていど大きくなったお子さまが勉強で問題をかかえているなら? 大丈夫です。遅くはありません。理解力と反復です。まずすべきは昔話の読み聞かせと書き写し。昔話は幼児のお話だと思っていませんか? まったくそんなことはありません。小中高生にどんな昔話もOKです。ただし、読み聞かせも書き写しも即効性はありません。変化が見えるまで1~2年以上かかります。それが待てないなら、私は促成型の方法を知らない(見たことも聞いたこともありません)ので他をあたってください。
第四子は、家庭の事情で読み聞かせがあまりできませんでした。小1で進研ゼミのチャレンジをやろうとして、書かれていることの意味がわからず、泣きだしました。わかるようになってからやったらいい、と親は思うのですが、本人は、今やりたいとのこと。上の3人は小1で平然と独学ができたのに、第四子はなぜ?
夫婦で考えて、原因を特定できました。読み聞かせが圧倒的に足りなかったのです。勉強はしなくていいからと、毎日、昔話を読み聞かせました。書き写しも、無理ない程度に始めました。半年もすると、チャレンジを独学でできるようになっていました。1年もたつと、『自由自在』を独学でやっています。2年もすると、自分でどんどん本を読むようになっていきました。2年間で集中的な昔話の読み聞かせを終了しました。その後は、上の3人と同様、すべてを独学で勉強できるようになっていきました。小学校高学年あたりからは、分厚い本、難しい本もすごいペースで読むようになりました。
そうなると、何の心配もありません。中3で模試を多数受けましたが、名だたる進学校に合格可能な成績でした。第四子は勉強のブランクはないものの、スタートが大幅に遅れました。それでも挽回可能でした。現在、高2年齢で、大学受験を志し、日々、勉強しています。高2の秋ともなれば、受験生です。本人も自覚しています。上のきょうだいたちに大学の様子を聞いて、モチベーションを高めています。