[HS22]昔話の調達
大量のホンモノの昔話をどうやって調達するか、ですが、残念ながら、書店で買えるものはかなり少ないです。「小澤俊夫」の名前が入っているものはホンモノですし、小澤さんの名前で調べればある程度みつかります。
福音館書店がいい絵本を多数作っていますが、創作と昔話が混在しています。「民話」とか「昔話」というキーワードが入っているので、それを目印にするといいでしょう。現在、新刊で買える子ども向けの昔話はほとんどが改編されたお話です。
頼りになるのはやはり図書館です。かつては昔話や伝説集が多数作られていました。そのほとんどは絶版になっています。シリーズもの、全集ものも多数ありました。絵本も多数ありました。日本の昔話も世界の昔話もいいです。どちらを中心に、ということはありません。なるべく多様な昔話がいいです。
グリム童話はおおむね昔話ですが、アンデルセン童話は創作話です。創作話には、作者の価値観や人生観がにじみ出ています。悪いことではありません。アンデルセン童話もいいお話ですし、ぜひ子どもたちに読んであげたらいいでしょう。それでも、昔話を中心に(昔話以外を排除するのではなく)することをオススメします。
アンドルー・ラング世界童話集もおおむね昔話です。膨大なお話があります。ペロー童話集もいいですが、創作気味です。イソップ童話集は教訓的に見えますが、創作文学には見えず、昔話的です。○○童話集という類のお話は、創作といえども昔話や伝説をベースにしているものが多く、拡張昔話として扱っても良いと思います。脚色があったとしても、最近の改編されたお話(お話を根本的に変えています)とは次元が違います。
世界の昔話では、『世界の民話』(ぎょうせい)の37巻セットが圧巻です。素晴らしいです。図書館にはあるでしょう。
絶版になった昔話でも、古書なら入手できる場合があります。ヤフオク、アマゾンマーケットプレイス、メルカリなどでさがせばいろいろあります。古書店もいいでしょう。特にヤフオクでは、全巻セットや多数混在セットなど、まとめて入手できる場合があります。わが家でも古書を積極的に入手してきました。
子どもの本・絵本を知人からお譲り頂くこともしばしばあり、とくに古い本ではホンモノの昔話が見つかることも多いです。
昔話は、一次資料と再話があります。昔話は本として存在したのではなく、主におじいさん、おばあさんが語りついできたものですから、形がありません、戦後、多くの方々が全国各地で語られる昔話を聞いて記録してきました。語られたままの記録です。これが一次資料です。語られたお話を記録のまま読んでもわかりにくいです。だから、元の形を崩さないようにして読みやすく語りやすいように組み立てたお話が再話です。最近は、元の形を台無しにした再話もどきが横行しています。由々しき事態です。
現在は、新刊として入手可能な一次資料はほとんどないと思います。再話でも、大人向けの再話と子ども向けの再話があります。私は昔話の読み聞かせにおいて、対象年齢は無視したと著書に書きました。とはいっても、幼児に大人向けの再話を読むのはやりすぎです。小学生でないとわからないかなというお話を幼児に読むならアリでしょう。